安全器

安全器

(一)安釜器の重要性

　アセチレンと酸素との一定割合の混合物は非常に爆発し易 く、煙草やマッチの火とか電気のスパークなどでも引火すれ ば直ちに爆発する。また、火花や摩擦、衝撃等によつて容易 に爆発することがある。アセチレン発生器により仙台初詣合格祈願溶接又は溶 断作業を行うとき、アセチレンの圧力が酸素の圧力よりも低 いから、火口や吹管等に故障があったり、或は吹管の操作を 誤ったりすると、酸素がアセチレンの導管中に流れ込んで危 険な混合ガスができる。この流れ込みが甚だしいときには酸 素がアセチレン発生器に流入することもある。この場合に、 もし火口から導管中の混合ガスに引火すると、導管内で燃 焼、爆発を起し、発生器までも爆発を起すことがある。安全 器はこれらの災害を防止するために使用するのであるが、そ の他、発生器内にて異状に圧力が上昇した場合に、自動的に これを調整するのにも役立ち、また、安全器の構造によって は、アセチレン中の不純物を取り除き、ガスを清浄する目的 を持つ場合ももある。
　石炭載山保安規則第326条第2号には、Γ発生器のガス出 口には、安全器を備えること」と規定されているが、安全器 は発生器と吸管との間(アセチレン導管の途中)に取付ける のが普通である。低圧アセチレン用安全器としては、次に述 ぺる水封式安全器が簡単で比較的効果が多いので最も多く用 いられている。この安全器を、発生器と吹管との間の導管の 途中に備えておけぱ、万一逆火があっても燃焼が発生器まで 達せず、安全器において大気中に噴き出し危険を防止するこ とができる。この場合、安全器は、それ自体が破壊その破片の 飛散によって災害を発生することのないよう堅牢な構造のも のでなけれぱならない。

(二)水封式安全器

　水封式安全器の主要部分は、水封管と呼ぶ外気に通じる枝管 を持つた鋼板製円筒形容器と、水封管の外気に 開放された端を挿入する水槽とから成っている。円筒形容器 の底部にはアセチレン導入管が、また上部には排出管が設け られており、使用に際しては、この導入管の上方3O〜40mm まで水を満たす必要があり、　この水位が25mm以下になっ てはならない。導入管から入るアセチレンは、この水中を泡 となつて水面に出て、排出管から出て吹管に導かれる。
　円筒形容器から分岐している水封管の先端は水槽中に挿入 され、器内と外気とを水で遮断している。第7図に見るよう に、この水槽の水面には大気圧が働き、水封管の水面には器 内のアセチレンの圧力(大気圧より高い)が働くから、両者 の水位がパランスするためには、適当の水深が必要である。 もし、酸素の逆流があると、器内の圧力が高まるから水封管 の水面か内側から押され、ガスは水封管の水をくぐって外部 に放出される。また、逆火の場合は、器丙の圧力が急激に増 加し、水封管の水を一時に器外に押し出し、逆流した燃焼ガ スは直接大気中に放出される。いずれの場合でも、円筒形容 器内のアセチレン導入管の上の水の層は、導入管から発生器 ヘ酸素が逆流したり、火災が伝わったりするのを防止する。 構造上必要な事項は次の道りである。
イ、厚さ2mm以上の鋼板で作られ、その接合部分は仙台初詣合格祈願溶接ま たはリベット接合で十分の強度を有すること。
ロ、円筒の内径は120mm以下であること。これは逆火爆発 の際爆発力を小くして、その圧力に耐える強度を持たせる ためである。
ハ、有効氷柱（導入管のガスの出口から水面迄の高さ)は25 mm以上とすること。有効氷柱が余り高過ぎるとガスの通 りがわるく、作業がし難くなるから30〜40mm位がよい。
ニ、水位(有効氷柱の高さ)を点検するため、のぞき窓(ガ ラス板、雲母板)またはガラス管等の水面計を備えるこ と。のぞき窓の雲母板またはガラス板は、逆火の際破壊す ることが多いから必要以上に大きくしないとと。また、水 位の調節、器内の水の取換等のため、注水コックおよぴ排 水コックを備える必要がある。
ホ、のぞき窓またはガラス管の下端は、アセチレン導入管か ら10mm以上上方に設けること。これは、逆火爆発の際、 ガラス板、雲母板等が破れて水が流れ出た後に続いて起る 逆火等の発生器におよぶのを阻止するためである。
へ、アセチレン導入管は、作業に必要なアセチレンの量を十 分送りうる太さのものを使用すること。余り細い管を用い ると、大きい火口を使う場合に、必要な量のガスが安全器 に入らないため、安全器内の圧力が下つて水封管から外部 の空気を吸い込む危険がある。普通は、小いものでも12mm 位の太さの管を使っている。
　気鐘内にアセチレンが切れて圧力が下った場合に、その まま作業を継続するときも同じように空気を吸い込む。
ト、導入管の安全器内におけるガスの出口(導入ロ)には、多 数の小孔を穿ち、アセチレンが小泡となって出るようにす ること。孔が大きいとガスが泡とならないで、水を押しの けて直通し、不純物を除きガスを清浄する目的が達せられ ない。
チ、ガスが水面から出るとき吹き上げる水滴が排出管の口か ら導管に入り込まないようにする必要がある。もし、水面 と排出管の口とが近いときは霧除けを備えて水をとるよう になつていることが必要である。
リ、火封管は、逆火、逆流が起って安全器内の圧力が上った とき、容易にここからガスが逃げ得るよう抵抗の少い構造 であること。水封管の径は、安全器の円筒形容器の2分の 1位が適当とせられている。
ヌ、水封管の水面は、作業中アセチレンが逃げることのない よう適当な圧力を保つように、その高さを保つこと。

(三)水封式安全器の使用上の注意

　完全な安全器でも取扱いがわるいと、事故を起すから正し い取扱いをしなけれぱならない。
イ、安全器は各吹管ごとに必ず1個を取り付けること。安全 器は小さく造られているから1個の安全器に2個以上の吹 管を取り付けるとガスの通りがわるくなるぱかりでなく、 一方の吹管に逆火が起きると、その爆発が他の吹管にもお よぴ危険が大きくなる。
ロ、ガス溜と発生器とが離れている装置では、両者の間にも 、安全器を設けること。この場合には相当大きいものを用い る必要がある。
ハ、水封式安全器は、作業者が容易に水位を確めることがで きるような箇所に垂直に固定すること。
ニ、安全器の水位は毎日使用前に必ず点検し、常に規定のと ころまで水を入れておくこと。
ホ、安全器からのガス洩れを調べたり、また器内の水が凍 ったとき、とれを融かすのに裸火を使用しないこと。
ヘ、安全器の水は時々取り換え、掃除すること。これは安全 器の内部が腐蝕するのを防止し、また、のぞき窓のガラス がくもるのを防ぐためである。

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